第10章 コンプライアンスと監査対策

第10章 コンプライアンスと監査対策

第10章 コンプライアンスと監査対策

第10章 コンプライアンスと監査対策

10-1 NTSの税務調査(세무조사)の概要

韓国の国税庁(NTS)は、定期的および事案ベースの税務調査(세무조사)を実施します。税務調査は「定期調査(정기조사)」と「非定期調査(비정기조査)」に分類され、法令上は原則として5年に1回以上の定期調査が予定されていますが、申告内容の不備や異常値が検出された場合には非定期に実施されることもあります。

外国事業者に対する調査は、国内事業者への調査と比べて書類提出・面談対応に言語・時差・郵便配達等のハードルが加わるため、事前準備をより念入りに行うことが重要です。

10-2 調査のトリガーとなる主なリスク要因

NTSがVAT調査を開始する典型的なトリガーは以下のとおりです。

  • 申告漏れ・無申告: HomeTaxのデータベース照合により未登録・未申告が検出された場合
  • 課税標準の過少申告: 申告金額とプラットフォーム報告値・金融取引記録との乖離
  • 税金計算書の不整合: 発行・受領の記録と実際の取引データの不一致
  • 多額の仕入税額控除・還付請求: 事業規模に対して高額な還付申請が継続する場合
  • 関連当事者間取引(移転価格): グループ内役務提供の課税標準が適切かどうかの検証

10-3 記録保存義務

韓国付加価値税法上、事業者は以下の書類・データを5年間保存する義務があります(付加価値税法第71条)。

  • 電子税金計算書・紙税金計算書の控え
  • 輸入申告書(수입신고서)・輸出申告書
  • 売上・仕入の明細帳
  • 信用カード売上明細・現金영수증(現金レシート)
  • 契約書・注文書・配送記録

電子記録として保存する場合は、改ざん防止措置(ハッシュ値・タイムスタンプ等)が施されたシステムでの管理が求められます。

10-4 主な罰則規定

違反内容 加算税・罰則
無申告(不申告加算税) 無申告税額の20%(不正行為の場合40%)
過少申告 不足税額の10%(不正行為の場合40%)
電子税金計算書未発行 供給対価の2%
電子税金計算書期限後発行 供給対価の1%
虚偽の税金計算書発行・受領 供給対価の3%(刑事告発の対象となる場合も)
納付期限超過 1日あたり0.022%の延滞税

なお、虚偽インボイスの発行・受領(자료상 행위)は刑事罰の対象となり得るため、実態のない取引への加担や架空請求書の取得は厳に避けなければなりません。

10-5 日韓租税条約との関係

1994年に締結された日韓租税条約(所得に対する租税の二重課税の回避および脱税の防止のための条約)は所得税・法人税を対象としており、VATには直接適用されません。ただし、日韓間の税務情報交換協定(TIEA相当)に基づきNTSと日本の国税庁(NTA)が税務情報を共有できる枠組みが存在するため、日本側の申告情報が韓国の調査に活用される可能性も念頭に置くべきです。

10-6 実務上のコンプライアンス強化策

日本企業が韓国VATコンプライアンスを維持するために取るべき具体的な対策をまとめます。

  1. 専門家の活用: 韓国税務士(세무사)または公認会計士(공인회계사)を顧問として契約し、申告書のレビューと法改正対応を依頼する。
  2. 申告カレンダーの整備: 予定申告・確定申告の期限をシステムアラートで管理し、提出漏れを防ぐ。
  3. 内部統制の構築: 課税・免税・ゼロ税率の取引区分を自動判定できる会計・ERPシステムの整備。
  4. 定期的な自主レビュー: 四半期ごとに申告内容と実績データの照合を行い、差異の早期発見・修正申告を実施。
  5. 担当者への研修: 韓国VAT制度の変更点(毎年1月施行が多い)を担当者が把握できるよう、年次研修を実施する。

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第9章 マーケットプレイス法と代理徴収 | 第11章 まとめと今後のトレンド


免責事項

本記事は、韓国の付加価値税制度に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、税務・法務・会計上の専門的なアドバイスを構成するものではありません。記載内容は作成時点の情報に基づいており、法令・規則・通達等は随時改正される可能性があります。個別の取引や事案に対する判断にあたっては、必ず韓国の税務士(세무사)、公認会計士(공인회계사)、または国際税務に精通した専門家にご相談ください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、オプティ株式会社は一切の責任を負いません。

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