第5章 越境EC事業者の課税義務

第5章 越境EC事業者の課税義務

第5章 越境EC事業者の課税義務

第5章 越境EC事業者の課税義務

5-1 越境取引に係る課税の基本的考え方

韓国VATにおける越境取引の課税は「仕向地原則(destination principle)」に基づいています。すなわち、物品やサービスが消費される国(韓国)でVATが課税されるという考え方です。この原則により、日本に拠点を置く事業者であっても、韓国の消費者・事業者に向けて販売を行う場合には韓国VATへの対応が必要となります。

5-2 物品の越境販売(EC物販)

日本から韓国へ物品を輸送して販売する場合、輸入時に韓国の税関(관세청)が輸入VAT(10%)および関税を徴収します。輸入申告は通常、韓国の輸入者(バイヤーまたは輸入代行業者)が行い、VATは輸入者が負担・申告します。

ただし、以下のケースでは日本側事業者が韓国VAT上の義務を負う可能性があります。

  • 韓国内の消費者宅への直接配送(DDPインコタームズ等)を行い、実質的に輸入申告を代行する場合
  • 韓国国内に保税倉庫・在庫拠点を置き、国内供給として販売する場合
  • フルフィルメントサービスを通じて韓国国内倉庫から出荷する場合(Coupang Rocket等)

韓国国内倉庫から出荷する形態は「国内取引」とみなされ、通常の事業者登録と申告義務が発生します。

5-3 デジタルサービスの越境提供(BtoC)

2015年7月1日より施行された改正付加価値税法(第53条の2)により、韓国国内の消費者(一般個人)に対して電子的役務を提供する外国事業者は、韓国VATの申告・納付義務を負います。対象となる主なサービスは以下のとおりです。

  • モバイルゲーム・PCゲームのダウンロード・プレイ権の提供
  • 動画・音楽・電子書籍のストリーミング・ダウンロード配信
  • SaaS・クラウドソフトウェアの提供
  • オンライン広告配信サービス
  • ウェブサイト構築ツール・デジタルテンプレートの販売
  • インターネットを通じたオンライン学習・コンテンツプラットフォーム

課税標準:
サービスの提供対価(消費者が支払う金額)がそのまま課税標準となります。通貨が日本円の場合、申告時に韓国ウォン換算が必要です(NTS告示の基準為替レートを使用)。

納税義務者の判断:
外国事業者が韓国消費者に直接販売する場合は外国事業者が申告義務者となります。Appストア・Googleプレイ・Amazon等のプラットフォームを経由して販売する場合は、第9章で解説するマーケットプレイス規定によりプラットフォーム側が納税義務を負う場合があります。

5-4 BtoB取引の扱い

韓国の事業者登録を有する法人等(B取引先)へデジタルサービスを提供する場合は、外国事業者の申告義務ではなく、韓国側受領事業者によるリバースチャージ申告(대리납부)が適用されます(付加価値税法第52条)。外国事業者はVATを別途徴収・申告せず、韓国の受領事業者が仕入VAT相当額を自ら申告・納付します。取引相手が事業者か消費者かを確認することが実務上重要なステップです。

5-5 課税義務発生の確認チェックリスト

日本のEC事業者が韓国VATへの対応要否を確認する際のチェックポイントを以下に示します。

  1. 韓国の消費者(個人)へのデジタルサービス提供があるか
  2. 韓国国内倉庫・フルフィルメントセンターを利用しているか
  3. DDPやその他の条件で輸入VAT相当額を日本側が負担しているか
  4. 取引相手が事業者か消費者かを適切に区別できているか
  5. プラットフォーム経由販売の場合、当該プラットフォームが代理申告を行っているか

いずれか一つでも該当する場合は、韓国VAT専門家への相談と早期登録対応を推奨します。


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第4章 事業者登録制度 | 第6章 電子インボイス制度(세금계산서)


免責事項

本記事は、韓国の付加価値税制度に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、税務・法務・会計上の専門的なアドバイスを構成するものではありません。記載内容は作成時点の情報に基づいており、法令・規則・通達等は随時改正される可能性があります。個別の取引や事案に対する判断にあたっては、必ず韓国の税務士(세무사)、公認会計士(공인회계사)、または国際税務に精通した専門家にご相談ください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、オプティ株式会社は一切の責任を負いません。

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