Amazonアカウントが突然凍結される前に|GPSR・EPR・VAT対応が急務な理由

Amazonアカウントが突然凍結される前に|GPSR・EPR・VAT対応が急務な理由

Amazonアカウントが突然凍結される前に|GPSR・EPR・VAT対応が急務な理由

Amazonのアカウント凍結は予告なく起きる。「昨日まで普通に売れていた商品が今日いきなりリスティング削除された」「朝起きたらアカウントが停止されていた」という経験をしたセラーは少なくありません。規制対応の遅れがビジネスを止めるリスクは、年々高まっています。本稿ではAmazonの規制強化タイムラインと、GPSR・EPR・VATそれぞれの対応状況を客観的なデータで整理します。

Amazonアカウント凍結の実態

Jungle Scout「State of the Amazon Seller 2023」によれば、調査対象のAmazonセラーの26%が過去1年間にアカウントまたはASINの停止を経験したと回答しています。停止理由の上位は「ポリシー違反」(34%)、「知的財産権の問題」(22%)、「商品安全・コンプライアンス違反」(18%)です。

2022〜2024年にかけてAmazonはEU市場における規制対応要件の未充足を理由としたリスティング削除・アカウント停止を強化しており、特にGPSR・EPR・VAT未登録を理由とした措置が増加しています。停止期間中の売上損失は大きく、回復までに数週間〜数ヶ月かかるケースも報告されています。

GPSR(EU一般製品安全規則):2024年12月13日施行

GPSRとは

EU一般製品安全規則(GPSR:General Product Safety Regulation)は、2023年5月に制定され2024年12月13日に施行されました。従来のGPSD(一般製品安全指令)を刷新し、EC・プラットフォーム経済に対応した現代的な規制として設計されています。

セラーへの主な要件

EC-REP(EU域内責任者代理人)の設置:EU域外に拠点を持つ事業者がEU市場向けに製品を販売する場合、EU域内に責任者代理人(EC Representative)を設置し、その連絡先をAmazonに登録する必要があります。

製品の追跡可能性:バッチ番号・シリアル番号・製造日など、製品を追跡可能にする情報の記録・保持が必要。

リコール手続きの整備:製品に安全上の問題が発生した際の消費者通知・回収プロセスの明確化が必要。

Amazonへの情報提出:EC-REPの氏名・住所・連絡先、製品安全連絡先をAmazonセラーセントラルに登録することが必要。

AmazonのGPSR対応措置

Amazonは2024年12月13日の施行日前後から、GPSR要件を満たさないASINのリスティングを停止する措置を実施しています。2025年以降も継続的なコンプライアンスチェックが行われており、未対応のセラーは随時リスティング削除の対象となります。

特にEC-REP未設置のまま販売を続けている非EU事業者(日本・米国・中国など)への影響が大きい。Seller Centralからの通知に気づかずに放置したまま停止されるケースが報告されています。

EPR(拡大生産者責任):EU各国で段階的義務化

EPRの概要

EPR(Extended Producer Responsibility:拡大生産者責任)は、製品の廃棄・リサイクルコストを生産者・販売者に負担させる制度です。EU各国で包装材・電池・電子機器(WEEE)・繊維など、カテゴリーごとに登録・報告義務が課されています。

主要国の施行状況

ドイツ:包装材EPR(VerpackG)は2019年施行済み。LUCID登録が必須で、未登録は販売禁止。

フランス:包装材・電子機器・繊維等、複数カテゴリーで義務化済み。IDUNIQEシステムへの登録が必要。

スペイン:2023年よりSIGRE/ECOEMBES等への登録が必須化。

イタリア:包装材(CONAI)登録は既存。電子機器(RAEEシステム)への登録も必要。

オーストリア・ベルギー・オランダ:2023〜2024年にかけて段階的義務化が進む。

AmazonへのEPR登録番号提出義務

Amazonは対象国のEPR登録番号をSeller Centralに登録することを義務化しています。登録番号が未提出または期限切れの場合、Amazonは該当商品のリスティングを停止することができます。

EPR対応は「一度登録すれば終わり」ではありません。登録後も年次の売上報告・費用分担金の支払いが必要であり、継続的な管理が求められる。

VAT未登録・未申告によるアカウント停止リスク

Amazonは2020年以降、欧州各国でのVAT未登録セラーへのアカウント停止措置を強化しています。特にUK・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン(いわゆるBig5)でのVAT登録は、Amazon経由での販売継続の実質的な前提条件となっています。

2023年施行のDAC7指令により、Amazonは年間2,000ユーロ超または取引30件超のセラーの売上情報をEU各国税務当局に自動報告する義務を負った。これにより「VAT未登録のまま販売を続けて見つからない」という状況はほぼなくなったと言っていい。

UK Post-Brexit(2021年1月〜)では、UKへの輸入・販売にUK VAT登録が別途必要となりました。Amazon UK経由の販売では2021年からAmazonが一定の条件でVATを代替徴収しているが、登録義務そのものがなくなるわけではありません。

規制強化タイムライン

2018年:South Dakota v. Wayfair判決(米国エコノミックネクサス拡大)

2019年:ドイツ包装材EPR(VerpackG)施行

2020年:Amazon UK・ドイツでのVAT未登録セラー停止措置強化

2021年1月:Brexit完全施行・UK VAT別途登録必要化

2021年7月:EU OSS制度導入

2022年:Amazon EU全域でのVAT未登録セラー停止措置継続強化

2023年1月:EU DAC7指令施行(セラー情報の自動報告)

2023年:フランス・スペインでのEPR義務化拡大

2024年12月13日:EU GPSR施行・AmazonのGPSR非対応商品リスティング停止

2025年〜2028年予定:EU ViDA(リアルタイムVAT申告)段階的施行

対応チェックリスト

EU向け販売をしているすべてのセラーが確認すべき項目をまとめる。

□ 販売国すべてでのVAT登録完了(または登録申請中)

□ AmazonセラーセントラルへのVAT番号登録

□ EC-REP(EU域内責任者代理人)の設置

□ GPSRの製品安全情報のSeller Central登録

□ 対象カテゴリー・対象国でのEPR登録番号取得

□ AmazonへのEPR登録番号提出

□ DAC7対応(申告データとAmazon報告データの整合性確認)

まとめ

Amazonの規制対応要件は年々増加・厳格化しています。「知らなかった」では済まされず、未対応はビジネスの停止に直結します。GPSR・EPR・VATの各要件を把握し、早期に対応体制を整えることが、越境EC事業の継続性を守る最善策です。一つひとつの要件は複雑だが、専門家の支援を活用することで対応コストと時間を大幅に削減できます。

手前味噌ですが、GPSR・EPR・VAT対応の相談は オプティ まで。

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