Japan Finds byGMOに見る越境ECの新しい始め方と、セラーが知っておくべき税務の話

Japan Finds byGMOに見る越境ECの新しい始め方と、セラーが知っておくべき税務の話

Japan Finds byGMOに見る越境ECの新しい始め方と、セラーが知っておくべき税務の話

OPTIの淵上です。

GMOグローバルECが提供する越境EC支援サービス「Japan Finds byGMO」が、注目を集めています。国内のEC事業者がmakeshopの商品情報をそのまま連携するだけで、eBayをはじめとする海外ECモールへの出品・販売が可能になるというサービスです。

GMOグローバルECの取締役である横川広幸さんとは旧知の仲で、越境EC業界の動向について意見交換をさせていただく機会も多くあります。横川さんは同社のブログでも越境ECに関する鋭い考察を発信されており、業界への貢献は大きいものがあります。


「テストマーケティング」としての越境ECという発想

Japan Findsの興味深い点は、越境ECを「まず試してみる」ためのプラットフォームとして位置づけていることです。

従来、海外販売を始めるには、多言語対応、決済、物流、顧客対応と、相応の準備とコストが必要でした。特に中小企業にとっては、「やってみたいが、失敗したときのリスクが大きい」という心理的なハードルが参入障壁となっていたのではないでしょうか。

Japan Findsでは、商品登録から多言語翻訳、決済処理、国際配送、カスタマーサポートまでをワンストップで提供しており、初期費用・月額料金・販売手数料・国際配送料がすべて無料とされています(参考:GMOメイクショップ プレスリリース)。

つまり、リスクを最小限に抑えながら、「自社の商品が海外で受け入れられるかどうか」をテストできる環境が用意されているということです。これは特に、海外展開を検討し始めた段階の事業者にとって、非常に価値のある仕組みではないかと考えます。

さらに、GMOグローバルECは経済産業省IT補助金の認定事業者として9年連続100社以上の採択実績があり、各種補助金・助成金の活用支援にも力を入れています。事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金に加え、各都道府県の海外展開支援補助金の情報も網羅的に提供されており、コスト面での不安を軽減する体制が整っている点も評価できます。


一方で、確認しておきたい「売主」の問題

Japan Findsのようなプラットフォームを活用する際に、事業者が事前に確認しておくべき重要な論点があります。それは、「売主(Merchant of Record)が誰になるか」という問題です。

越境ECにおいて、税務上の売主が誰であるかは、VATやSales Taxの申告義務に直結します。

一般に、越境ECの座組には大きく分けて2つのモデルがあります。

1. MoR(Merchant of Record)モデル
プラットフォーム事業者自身が税務上の売主となるモデルです。この場合、VATの登録・申告義務はプラットフォーム側が負います。セラー(出品者)は現地の税務対応を行う必要がありません。ShopifyのMerchant of Record機能やDigital River、Paddleなどがこのモデルに該当します。

2. マーケットプレイス / プラットフォームモデル
プラットフォームは出品・販売の「場」を提供しますが、税務上の売主はあくまでセラー自身です。この場合、販売先の国でのVAT登録やSales Tax対応は、セラーが自ら行う必要があります。

Japan Findsのプライバシーポリシーや利用規約を確認する限り、GMOグローバルECが税務上の売主(MoR)として振る舞っている記述は見受けられません。同社は「出品・販売の代行」を行う立場であり、税務上の売主はセラー自身である可能性が高いと考えられます。

もちろん、eBay等のマーケットプレイス自体が「みなし供給者(deemed supplier)」として代理徴収を行うケースもあり、EU域内での低額取引(150ユーロ以下)については、マーケットプレイス側がVATを徴収・納付する仕組みが整備されつつあります。しかし、これはあくまでマーケットプレイス側の義務であり、セラーの申告義務がすべて免除されるわけではありません。


テストマーケティングから本格展開へ移行する際の注意点

Japan Findsでテストマーケティングを行い、海外での需要が確認できた段階で、本格的な越境EC展開に移行する事業者も出てくることが予想されます。

その際に確認しておくべき主な論点を整理します。

・販売先の国でのVAT登録義務の有無とそのしきい値
・IOSSの活用可能性(EU向け150ユーロ以下の取引)
・米国のSales Tax(州ごとの経済的ネクサス基準)
・GPSR(EU一般製品安全規則)に基づく責任者の設置
・EPR(拡大生産者責任)に基づく包装材登録
・インボイス要件の確認

テストマーケティングの段階では、取引量が少ないため、これらの義務が発生しないケースもあるかもしれません。しかし、売上が拡大してしきい値を超えた時点で、遡及的に義務が生じる可能性もあります。「売れてから考える」のではなく、「売れる前から把握しておく」ことが、持続的な越境EC事業の基盤になるのではないかと考えます。


プラットフォームの進化と、セラーに求められるリテラシー

Japan Findsのようなサービスが登場したことで、越境ECの参入障壁は確実に下がっています。これは日本のEC事業者にとって歓迎すべき変化です。

一方で、参入が容易になればなるほど、セラー自身が「自分の責任範囲」を正しく理解しておくことの重要性も増してきます。プラットフォームがカバーしてくれる領域と、セラーが自ら対応すべき領域。この線引きを把握しておくことが、思わぬトラブルを防ぐ鍵になるのではないでしょうか。

越境ECに関する税務・コンプライアンスについてご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


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