Amazon FBA と VAT —「Amazonが徴収してくれるから大丈夫」の落とし穴

この記事でわかること: EUのAmazonで販売する日本セラーに、VATの義務がどこまで残るのか。FBA・Pan-EU利用時の注意点。

EUのAmazonで販売していると、「AmazonがVATを徴収している明細を見た。だったら自分は何もしなくていいのでは?」という疑問が必ず出てきます。半分正しく、半分危険な誤解です。

Amazonが徴収する仕組み: みなし供給者(deemed supplier)

2021年のEU税制改革により、一定の取引ではAmazonが「みなし供給者」としてVATを徴収・納付します。日本のセラーに関係が深いのは次の2パターンです。

1. EU域外の事業者(日本法人・日本の個人事業主)が、EU域内の在庫からB2C販売するケース → AmazonがVATを徴収

2. €150以下の商品をEU域外から直送でB2C販売するケース → AmazonがVATを徴収(AmazonのIOSS番号で通関)

ここだけ見ると「全部Amazonがやってくれる」ように見えます。

それでもセラーに残る義務

EU域内に在庫がある限り、在庫国でのVAT登録義務はセラーに残ります。 Amazonが徴収するケースでも、取引の構造上は「セラー → Amazon への供給(ゼロ税率)」と「Amazon → 消費者への販売」に分解されるため、セラー側にも申告への反映が必要です。具体的には:

  • 在庫国でのVAT登録の維持(ドイツならUSt-IdNr.の取得・維持)
  • Amazonへのゼロ税率供給としての申告(申告書はゼロではない)
  • 在庫移動(域内取得)の申告: 倉庫間で在庫が国をまたぐと「自分から自分への移動」も申告対象
  • B2B販売や€150超の直送はみなし供給者の対象外 → 通常どおり自分で課税判断

最頻出の事故: Pan-EU FBA

FBAの設定で Pan-EU(パンヨーロピアン)FBA を有効にすると、Amazonが在庫を複数国(独・仏・伊・西・ポーランド・チェコ等)へ自動的に再配置します。在庫が置かれた国すべてで登録義務が発生するため、「気づいたらポーランドに在庫が移っていて、未登録期間の追徴が発生した」という相談が後を絶ちません。

対策: Pan-EU を ON にする前に、対象国すべての登録を済ませる。登録の負担を抑えたいなら、在庫保管国を限定する設定(EFN=欧州フルフィルメントネットワーク等)を検討する。

Amazonからの税番号要求

AmazonはセラーにVAT番号の提出を要求しており、未提出・不備は出品停止やアカウント停止のリスクがあります(ドイツは特に厳格)。「登録するかどうか」ではなく「いつまでに登録するか」の問題になっているのが実情です。

まとめ: 確認すべき3点

1. 在庫はどの国にあるか(セラーセントラルの在庫レポートで確認。Pan-EUのON/OFFも)

2. 在庫国すべてでVAT登録があるか

3. Amazonが徴収した分も含めて、申告書に正しく反映しているか

国ごとの税率・申告頻度・登録方法は EU 各国の VAT ガイド で確認できます。より実務的な内容(取引類型別の扱い・登録手続きの詳細)はスタンダード会員向けに公開しています。


本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務助言ではありません。個別のご相談は有料プランまたはお問い合わせをご利用ください。

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