越境ECは本当に伸びているのか

越境ECは本当に伸びているのか

越境ECは本当に伸びているのか

OPTIの淵上です。

先日PIVOTさんの番組「& questions」に出演し、Shopify Japanの熊澤さんと一緒に、越境ECとTAXテクノロジーについてお話しさせていただきました。

番組では限られた時間の中でかなり多くの話題に触れたため、本稿ではより詳細に考察してみたいと思います。

今回は「第1章:越境EC市場が急速に拡大している背景」です。TAXテクノロジーや電子インボイスの話は、次回に譲ります。


数字で見る越境EC市場の伸び

「越境ECが伸びている」というのは、数年前から繰り返し言われてきた話です。しかし、最近の成長ペースは、以前とは次元が異なると見ています。

McKinseyのレポートによれば、越境ECは2030年までに1〜2兆ドル規模の市場に成長すると予測されています(参考:McKinsey “Signed, sealed, and delivered”)。Statistaの調査では、越境EC市場は2025年時点ですでに約4兆ドルに達しているとされています(参考:Statista “Cross-border e-commerce”)。

複数の調査機関のデータを見ても、成長の方向性は一致しています。また、日経クロストレンドの独自調査では「越境EC」が消費トレンドにおけるスコア伸長のトップカテゴリーになっていることも注目に値します(参考:日経クロストレンド トレンドマップ2024上半期)。

日本の越境EC市場に限っても、経済産業省の調査では拡大傾向が続いています。2022年頃からの円安傾向や国内市場の縮小を背景に、海外展開を視野に入れる企業が増加していると、番組でShopifyの熊澤氏も言及されていました。

すなわち、「いつかやりたい」という段階から「今着手しなければ」という意識へと変わりつつある。そのようなフェーズに入ってきているのではないかと考えられます。


なぜ今、これほど伸びているのか

成長の要因はいくつか考えられますが、主要なものとして以下の3点が挙げられます。

1. インフラが整った

ShopifyやAmazon、eBayなどのプラットフォームが越境EC向けの機能を充実させてきました。以前は自社ECサイトの多言語対応、国際決済の導入、物流の手配など、参入するだけで多大なコストと工数が必要でした。現在はプラットフォームがその多くをカバーしています。

参入障壁は以前と比べて大幅に低下していると見ています。

2. 円安の追い風

2022年以降の円安は、日本の事業者にとって大きな価格競争力をもたらしています。海外の消費者から見ると、日本製品が相対的に購入しやすい価格帯になっています。「メイドインジャパン」の品質を、より手頃な価格で入手できるという状況が生まれています。

この円安がいつまで続くかは不透明ですが、現時点において日本の事業者には相対的な価格優位性があることは事実といえます。

3. 国内市場の限界

日本の人口は長期的な減少傾向にあります。国内のみでビジネスを成長させることの難しさを、多くの企業が実感し始めています。「海外に出る」という選択肢は、もはや成長戦略の一手段にとどまらず、事業継続の条件になりつつある可能性があります。


「伸びている」と「儲かる」は違う

ただし、ここで留意すべき点があります。

市場が拡大しているからといって、参入すれば自動的に収益が上がるわけではありません。

越境EC市場の拡大とともに、参入事業者も増加しています。中国企業、韓国企業、東南アジアの新興企業など、世界中のプレイヤーが同じ市場を狙っています。

私どものクライアントでも、「Amazonに出品したが売上が上がらない」「Shopifyで越境サイトを構築したが、アクセスがほとんどない」という事例は少なくありません。

成長市場に参入すれば自然に売れる時代は、すでに終わっていると考えられます。

重要なのは「出品する」ことではなく「設計する」ことではないでしょうか。どの国に、どの商品を、どのようなポジショニングで展開するか。価格で勝負するのか、品質やストーリーで差別化するのか。

そして、その「設計」の中で見落とされがちなのが、税制度や規制への対応です。これについては次稿で詳述します。


それでも、やらない理由はない

課題を列挙しましたが、越境ECの可能性は依然として大きいと見ています。

日本には、世界市場が求めるものが多数あります。品質の高い日用品、独自の文化を持つコンテンツ、職人が手がける工芸品、そして何より「日本製」というブランドへの信頼。

PIVOTの番組でもお話ししましたが、越境EC市場規模が10年で数倍に拡大する中で、日本企業が「売ること」に集中できる環境は整いつつあります。プラットフォーム、物流、決済。販売するためのインフラは存在しています。

不足しているのは、「売る前の設計」と「売った後の制度対応」ではないかと考えます。

次回は、国ごとに異なる税金や制度をどう理解し、どう対応していくかについて考察します。

(次回:「国ごとの税金と制度、何から手をつけるか」)


越境ECにおけるTAXテクノロジー活用について、さらに詳しく知りたい方はこちらのページからホワイトペーパーをダウンロードいただけます。

関連プレスリリース:オプティ株式会社、Shopify Japanと共にPIVOTに出演(PR Times)

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